調理の際に使用する器具は、用途に応じて様々な種類が存在します。今や簡単に食材をすり潰せるフードプロセッサーや、調理時間を短縮できる圧力鍋など便利な調理器具が溢れていますが、そもそも調理器具が生み出されたのには、どのような歴史があるのでしょうか。
人類が初めて調理器具を使い始めた歴史は古く、旧石器時代だと言われています。釣った魚や狩りによって捕獲した動物をさばくために黒曜石などの破片を使用し、焼いて食べるために木や竹などから作った焼き串を用いていたと推測されているのです。遺跡からは石斧や石包丁、甕などが発見されていますが、土器は発見されていないことから、当時はまだ食材を煮て食べることはなかったと考えられています。
旧石器時代から縄文時代に変わる頃、日本は大きな気候の変化を受け、これまで捕食していたナウマン象やオオツノジカといった大型動物が姿を消してしまいます。すると人類は中型動物や木の実などを食料とし、調理して食べるようになっていきました。木の実のアク抜きとして茹でたり、食材を保管したりするために誕生した調理器具が縄文土器です。また、殻をとったドングリを磨石で磨って粉にし、団子状にして食べるなど、調理器具も次第に変化を遂げていきます。
弥生時代になると、水田農耕によって食料を確保できるようになりました。また、中国大陸から朝鮮半島を経て鉄や青銅器が伝わったため、調理器具や技術も著しく進歩し、米を蒸すための甑(こしき)や臼、杵、そして金属の調理器具も徐々に出現し始めます。
弥生時代中期には鋳物づくりが始まったことでさらに鉄が普及し、刀子(とうす)と呼ばれる小刀が生まれました。また、貯蔵用具として壺などの土器も増え、弥生土器は食材によって使い分けられていたことが伺えます。
奈良時代にはまな板が使用されており、平安時代になると食材によって使い分ける包丁の原型が作られました。銅を用いた調理器具も使われるようになり、羽釜もこの頃に登場します。また、平安時代中期に編纂された「延喜式(えんぎしき)」には、鉄鍋を朝廷に献上したことが記されています。
鎌倉時代には、金属でできた刃物をはじめ、食材を加工するために土器や陶磁器で作ったすり鉢、こね鉢、おろし器などの調理器具が作られるようになりました。これらを使用して味噌や魚肉、お茶などを加工し、食していたようです。平安時代後期には鉄鍋が一般農民へ広がり、住居には囲炉裏が設けられるようになったことから、現在に近い食事をしていたのではと考えられています。
一方、海外では銅から鉄へ、そしてアルミニウムやステンレスを使用した調理器具が生まれており、アルミは明治以降に日本へと伝わりました。
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